シンプルで無駄のない 憧れの「平屋」暮らし
今回は、「平屋」を取り上げます。“ものを持たない暮らし”が好まれる今の時代、最小限の部屋数でシンプルに住まえるという観点から、幅広い世代で平屋が人気急上昇中なのだとか。一方、計画段階で諦める人が多いのも事実。平屋の施工実績が増えている「紀の国住宅」の設計課・宮本眞兵さんに、その理由を聞きました。
平屋とは、1階建ての戸建て住宅のこと。国民的アニメ「サザエさん」や「ちびまるこちゃん」が暮らす、昔ながらの家屋を想像しがちです
が…。 「平屋というと古民家や町家のイメージが強いかもしれませんが、“1階建て”というだけで、モダンにもナチュラルにもデザインはいかようにもできます。上下階の移動のないバリアフリーの住まいは、小さな子どもがいる世帯にも、シニア世代にも暮らしやすく、新築に加え、子どもが独立して2階が不要になった年配の方の建て替えの相談も多いです」と宮本さん。
そして、建築士の視点から平屋のメリットをこのように挙げます。「①2階建てより天井に高さが持たせられるので、開放的な空間が作りやすい②生活空間がワンフロアにまとまっているので、家事動線が効率的かつ、子どもや高齢者の階段でのケガがない③家族が同じフロアに暮らすので、コミュニケーションがとりやすい」と。他にも、太陽光発電を設置する新築住宅が増えている昨今、平屋は屋根の面積が広いので、ソーラーパネルがたくさん載せられ、2階以上部分の荷重がないため地震に強いともいわれています。
一方、デメリットはやはりコスト面。「コンパクトな間取りにしたとしても、一般的な分譲地の1・5区画分ほどの広さが必要です。加えて、面積が広い分、屋根や基礎に費用がかかることも否めません。それ以外にも、家族間のプライバシー、リビング以外の各居室の日当たりなど、設計段階で配慮するべきことは結構あります」と宮本さんは話します。「メリットを最大限に生かし、デメリットを解消するのが建築士の腕の見せ所。憧れの平屋暮らしを実現したい人は気軽に相談を」と言っていました。
出典:リビング和歌山2020年6月20日号