住まいのプロが教える! 家づくりのマネー講座⑩ 共働き夫婦でローンを組む 「連帯債務」と「ペアローン」
住宅ローン控除や団信にも注目
共働き世帯が珍しくない今、「夫婦で住宅ローンを組み、マイホームの資金に充てよう」と考えている人は少なくないのでは。シリーズ10回目は「連帯債務とペアローン」について「注文住宅の相談窓口 和歌山店」(和歌山市小雑賀)の店長・藤岡達史さんが解説します。
住宅価格の高騰などを背景に、「理想の物件があるものの、夫単独の借入金だけでは、購入価格に届かないケースもあるでしょう」と話す藤岡さん。「夫婦で協力してローンを組めば、借入額を増やせます」と続けます。
夫婦で借りるローンタイプには、「連帯債務」と「ペアローン」があります。「連帯債務は、夫婦の収入を合算して、住宅ローンを契約します。夫または妻が主債務者に、その配偶者が連帯債務者になります。連帯債務者は主債務者と同等の返済義務を負います」と解説。
ペアローンは夫婦それぞれが単独でローン契約し、借入・返済を行う仕組み。「例えば5000万円の物件なら、夫が3000万円分、妻が2000万円分と、1つの物件に対して、2つのローンが組まれます」
どちらも、住宅ローン控除を受けられます。「連帯債務は、所有権の持ち分割合に応じて控除額が決まります。ペアローンなら、各自のローン残高でそれぞれが控除を受けられます」
団体信用生命保険(団信)にも注意を。連帯債務では、主債務者が団信の対象となり、主債務者が死亡した場合、保険金でローンの残債が完済されます。一方、ペアローンでは、夫の団信は夫のローン残高だけ、妻の団信は妻のローン残高だけの保障に。夫が死亡した場合、妻自身のローン返済は続きます。
「そのため、夫婦両者に万一のことがあれば、どちらのローン残高もゼロになる『連生団体信用生命保険』が活用されることもあります」と、藤岡さんはアドバイス。ただし、保障が手厚い分、保険料負担が重くなるので、詳細は取り扱っている金融機関に確認を。

「借入額を増やせるのが、住宅ローンを夫婦で借りるメリット」と藤岡店長
和歌山リビング新聞 2025年9月6日号掲載