プロに聞く! 成功する土地探し⑤ 境界線や生活音、空き家… 近隣トラブルを避ける土地選び
越境物の所有権を「覚書」で明確に
土地は高価なお買い物。「買った後で後悔」なんてことは避けたいところ。和歌山県宅地建物取引業協会が指南する「土地探し」シリーズ5回目は、近隣トラブルを回避する土地の選び方について。広報啓発委員長・末吉亜矢さんが解説します。
「住宅地の近隣トラブルは、『越境』に関する事例が目立ちます」と話す末吉さん。越境とは、庭木や、軒・ひさしなどの家屋の一部が、隣地に侵入していること。地中の給排水管やガス管など目視できないものもあり、境界線上のフェンスや塀は共有物であるケースも。
隣地との境界や越境物の所有権があいまいだと、建築が困難だったり、土地を売却する際にスムーズに契約できなかったりします。「土地を購入する前に境界を確定し、越境物の所有権や撤去条件を明確にした覚書を、隣地所有者と取り交わしておくと、トラブルを防げます。不動産仲介業者や土地家屋調査士など、有資格者に間に入ってもらうといいですね」と、末吉さんはアドバイス。
私道に面した土地も要注意。「私道が共有されている場合、ライフラインを新しく引くときに、共有者全員の許可が必要になり、工事が難航することもあります」と、説明します。
「騒音」も、近隣トラブルでよく挙げられる事例の一つ。「都市計画法で定められた住居系の用途地域の中でも、商業施設の建設が制限されたエリアを選ぶと、閑静な住環境が整います」。併せて、購入予定の土地付近に、商業施設など計画予定の建物はないかも、不動産仲介業者に前もって聞いておきましょう。
一方、日常生活から生じる過度な騒音に関しては、「朝・昼・夜、平日と休日など、時間や条件を変えて、実際に現地を訪れて確認して」とも。劣化が激しい空き家の隣地も、できれば避けたいもの。「景観や治安がよくない上、所有者が不明の場合、家屋が倒壊して被害を受けると、法的解決に時間を要することがあります」と、末吉さんは最後に話していました。
和歌山リビング新聞2024年8月31日号掲載