災害に負けないレジリエンス住宅④ 構造や形状、基礎… 耐震性を高めるポイントは?
プロに相談して性能とデザインを両立
自然災害から家族を守る家シリーズ。4回目は、6月1日号で「木造住宅の工法」について解説した、和歌山県建築士会の耐震診断・判定委員で、1級建築士の田中梨穂さんが再登場。家を建てる前に知っておきたい、耐震性が優れた家づくりのポイントを聞きました。
まずは、安全な土地選びから。「土台となる地盤や基礎がしっかりしていることが、マイホームづくりの大前提」と、開口一番に話す田中さん。「能登半島地震の液状化による家屋崩壊は、記憶に新しいところ。地盤調査をして、必要であれば地盤改良を行い、地盤の状況や建物の形状に応じた基礎を築きましょう」と。
構造では、耐力壁がキーワード。「耐力壁とは地震や台風など水平方向にかかる圧力に抵抗する壁」と、田中さんは説明します。「この壁が家の四隅だったり、4方位だったり、バランスよく配置されていたら、地震の力が一部に片寄らず、耐震性が安定します」
2階建て以上の住宅なら、「直下率」にも注目。「建築基準法には直下率という言葉はありませんが、1階と2階の同じ位置に柱や耐力壁がある割合を意味します。この割合が高いほど、建物に生じる力がスムーズに流れていきます」とのこと。
大きな窓や吹き抜け、ビルト・イン・ガレージなど、大開口部のある家を望む場合は、壁や柱の量が必然的に少なくなるため、耐震性が低くなる可能性があります。「例えば、2台収容するビルト・イン・ガレージなら、車が並列する間に壁を設けたり、鉄骨造にしたりなど、何か対策を考える必要があります」と田中さんはアドバイス。
「耐震性能が高い家は資産価値があり、また、万一被災しても修繕費を抑えられることも」と、そのメリットを話す田中さん。とはいえ、一生に一度のマイホーム。限られた予算の中で、好みのデザインや間取りも反映させたいもの。「『吹き抜けのリビングが欲しいけど、耐震等級3レベルの性能を希望』など、家づくりを依頼する建築士に相談すると、さまざまなアイデアを提案してくれますよ」と、田中さんは最後に話していました。
和歌山リビング新聞2024年7月20日号掲載