災害に負けないレジリエンス住宅② 木造住宅の特徴を知って 地震に強い家づくり
耐震等級や免震・制震装置で補強を
国土交通省の「建築着工統計」(2022年度)によると、「新築低層住宅の8割以上が木造」との調査結果が出ています。日本ではなじみ深い木造家屋ですが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて耐震性は大丈夫? シリーズ2回目は、和歌山県建築士会の耐震診断・判定委員で、1級建築士の田中梨穂さんに、木造住宅の工法や耐震性について聞きました。
まず、木造戸建て住宅の工法について。代表的な工法に木造軸組みと2×4(ツーバイフォー)があります。「和歌山では木造軸組みが主流。土台や柱、梁(はり)などの構造部材を組み上げて、建物の骨格を造ります」と、田中さんは説明。柱と梁で四角形に構成された枠に“筋交い”と呼ばれる斜めの材を入れ、接合部の強度を高めるために、定められた基準を満たす金物を使用しています。
一方、2×4は北米から輸入された工法。「2×4の名は、使用する角材の断面が2インチ×4インチのものを多く用いるため」と田中さん。規格角材で枠を組み、パネルを打ち付けて、箱を組み立てるように建てていきます。「壁・床・天井の面で建物を支えるため、枠組み壁工法とも呼ばれます」
耐震性を比較すると、家の重量を軸(柱や梁)で支える木造軸組みより、面(壁や床)で支える2×4の方が優れているともいわれます。しかし、「新築なら、建築基準法の耐震基準をクリアする必要があるため、どちらの構造が強い、弱いというのはありません」と、田中さんは話します。
「より地震に強い木造の家を求めるなら、耐震等級を上げたり、『制震』『免震』といった家の揺れを抑える装置を備えたりすると効果的。地盤や基礎を補強するなど、家の耐震性を高める工夫は他にもあります」と、アドバイス。「住まいにどの程度の耐震性能を求めるのか、家づくりのパートナーとなる建築士や工務店に伝えるといいですね」と話していました。
和歌山リビング新聞2024年6月1日号掲載