プロに聞く! 成功する土地探し② 宅地を購入するときに 知っておきたい法規制
地域で建築制限を定める「用途地域」
ついに見つけた、新居にふさわしい土地。でもちょっと待って! その土地で理想のマイホームは建てられますか? シリーズ2回目は、宅地を購入するときに知っておきたい“建築法規”について、和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・武田雅博さんに聞きました。
不動産にはさまざまな法令や法規があり、家を建てられる土地、建てられない土地が定められています。「都市計画法により、市街化を促進する『市街化区域』は、住宅や商業施設、工場などの建設が認められています」と説明する武田さん。
この区域内を用途に応じて、住居系、商業系、工業系に大別し、13地域に分類したのが「用途地域」で、「工業専用地域」以外は住宅を建てられます。「中でも、低層・中高層の住居専用地域は、娯楽施設やホテルの建設が認められず、良好な住環境を望めます」と、武田さんは補足します。「用途地域以外に、自然景観を守る『風致地区』、延焼を防ぐ『防火地域』など、別の建築制限が加わるエリアもあります」とも。建設予定地がどの地域に該当するかは、自治体が作成する都市計画図で確認できます。
用途地域それぞれに建ぺい率や容積率の制限が定められています。「建ぺい率とは、敷地の広さに対する建築用に使える面積の割合のこと。容積率は、敷地に対する延べ床面積の割合を示します」と、武田さんは説明。「建物の高さ制限を設けている地域もあり、地域によって家の広さや高さの上限が決まります」
市街化区域に対して、農地や森林を守るために市街化を抑制する「市街化調整区域」には、原則、新たに家を建てることはできません。「しかし、農業従事者やその家族は、農地を宅地化できるなど、一定の条件を満たし、手続きを行えば建築許可が得られることもあります」と武田さん。「土地の法規制は多岐にわたり、全てを理解するのは困難。土地を購入する前に、不動産のプロである宅建業者に宅地として問題ないか、相談することをおすすめします」と話していました。
和歌山リビング新聞2024年5月25日号掲載