不動産屋さんのトリセツ② 不動産取引のプロ 「宅地建物取引士」
契約を交わす前に不動産情報を説明
地域や物件の情報に詳しい不動産屋さんを味方につけて、憧れのマイホームを実現しませんか。シリーズ2回目は、宅地建物取引士(宅建士・たっけんし)について、和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・武田雅博さんに聞きました。
宅建士は、不動産取引法務の国家資格です。資格試験に合格した後、実務経験が2年以上あるか、なければ実務講習を受講して、都道府県に資格登録を申請。宅建士の資格を証明する取引士証が交付されると、晴れて宅建士と名乗ることができます。
「試験の合格率は例年17%前後。その狭き門をくぐり抜け、さらに実務や講習でブラッシュアップする宅建士は、宅建業法や、建築に関わる法令上の制限、税関連など幅広い知識を持つ、不動産取引のプロフェッショナルです」と、武田さんは説明します。
不動産業者では、従業員5人につき1人以上の宅建士の配置が義務付けられていて、不動産業にとって宅建士は欠かせない存在。また、宅建士にしかできない独占業務があり、「それは物件の重要事項の説明です」と答える武田さん。「不動産の売買や賃貸の契約を締結する前に、不当な契約にならないように、宅建士が物件の詳細をまとめた『重要事項説明書』を見せながら、売り主や買い主に物件情報や取引条件を説明します」
その内容は、土地の所在や面積、登記、引き渡し時期から、建築基準法などの法令上の制限、売買代金や手付け金の額、契約解除や違約金までと幅広く、「ハザードマップを見せながら、対象物件の位置を示すことも義務付けられています」とも。重要事項説明書や契約書に、記載の内容の責任者として記名できるのも宅建士だけの業務です。
宅建士の免許は5年に1度の更新が必要で、常に最新の知識が求められます。「県宅建協会でも、法の改正に合わせ、会員である宅建業者たちが円滑で適正な不動産取引ができるように、講習会を開くなどして情報提供をしています」と、武田さんは話していました。
和歌山リビング新聞2023年11月25日号掲載