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家づくりお役立ち情報 境界不明で土地の価値が下がることも

境界不明で土地の価値が下がることも

プロが解説! 知っておきたい土地の法規制⑩
近隣トラブルを避けるために
明確にしたい「隣地境界線」

 

武田雅博さん

自分の土地とお隣さんの土地の境目、分かっていますか。知らずと越境して隣地を使っていたら、トラブルにつながるかも…。土地の法規制シリーズの10回目は、和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・武田雅博さんが「隣地境界線」について解説します。

「まず、隣地境界線の目印となるのが、『境界標』です」と話す武田さん。「境界標とは、土地の四隅など境界の折れ点に設置されている杭(くい)のこと。この境界標と境界標をつなぐ線が隣地境界線です」と、続けて説明します。「法務局が管理する土地の面積の測量図、『地積測量図』でも境界線を確認できます」とも。

しかし、古い土地によっては、敷地内に境界標自体がなかったり、測量図上に境界標の位置が示されていなかったりすることもあります。境界線が曖昧だと、不動産の所有権や固定資産税に関わるもめ事につながり、土地の売却や建物の建設が難しくなるケースも。「お隣さんと話し合った上で、土地家屋調査士などの専門家に測量を依頼して、境界線を確定させるのもいいでしょう」と、武田さんは話します。

民法により、隣地との境界線と建設する家の間に一定の距離を設けるルールもあります。「プライバシーに対する配慮から、建物を建てるときは境界線から50センチ以上離すことが求められています」。また、窓や縁側を付ける場合は1メートル以上離すか、目隠しをする規定も。

一方で、防火地域や準防火地域では、耐火構造などの条件を満たしていれば、50センチ未満でも建築可能、と建築基準法で定められています。「ただし、住居系や商業系など各用途地域や、昔ながらの住宅密集地など、地域の慣習によっては、これらのケースが当てはまらないことも。詳しくは宅建業者に確認を」

次回3月25日号掲載のシリーズ11回目で、引き続き「隣地境界線」を実例とともに説明。民法の改正により、今年4月から見直される予定の「隣地使用権」についても併せて伝えます。

リビング和歌山2023年2月25日号