施主と工事関係者の交流の場にも
建築三大祭事の一つ 幣串を飾り付けて骨組みの完成を祝う儀式
「上棟式」
建築の三大祭事である「地鎮祭」「上棟式」「竣工(しゅんこう)式」を知っていますか。
昨年、当コラムで「地鎮祭」の解説をしてもらった和歌山県神社庁(和歌山市和歌浦南)の事務局長・中谷承平さんが再び登場、今回は「上棟式」と「竣工式」について聞きました。
地鎮祭は着工前に土地の神様に家を造る許しを得て、工事の安全を願う儀式です。上棟式は柱や梁(はり)などを使った木造建築の骨組みの完成を祝う儀式で、屋根の頂部に「棟木」と呼ばれる木材を取り付けるタイミングで行われます。
「上棟式は『建前』『棟上げ』とも呼ばれ、建物の神様や工匠の神様に骨組みが終了したことに感謝し、引き続き、無事に家づくりが進められることを祈願します」と中谷さんは話します。
「昔は神主など神職を招くこともありましたが、現在は大工や工務店と施主で棟上げを行い、工事の安全を祈願するとともに交流を深める機会となる場合も見られます」と中谷さん。「式は工事関係者によって進行され、棟木に幣串と呼ばれる飾り物を付け、祭壇に供え物をし、建物の四隅に水や塩、米、酒をまいて清め、式の出席者による祈願が行われます」。施主は工事関係者をもてなすため、ご祝儀や弁当などを用意して労をねぎらいます。「最近は見なくなりましたが、餅投げが行われたことも」とも。
「竣工式」は工事の完了後に行われる儀式です。建物をはらい清めて、完成したことを神様に奉告し、今後の安全と繁栄を祈ります。「マンションやビル、店舗や施設など大きな建物の竣工時に行われることが多いです」と中谷さん。「地鎮祭や上棟式に比べ、一般の住宅ではなじみが薄いかもしれません」とも。「しかし、新生活を迎える人生の節目に、神職を招いて入居前に家ばらいを行い、御神札をまつるなど、各家庭に合った竣工式を行うのも、いいかもしれませんね」と、中谷さんは話していました。
リビング和歌山 2023年1月21日号