相続物件を売却するには何から始めてどうすれば? ② 「一般」「専任」「専属専任」 買い主を探してもらう「媒介契約」
売却が決まると仲介手数料が発生
和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・岩端芳則さんに、相続物件の売却についてアドバイスしてもらうシリーズ。対象不動産の調査が終わり、査定結果の報告を受け、業者の対応・価格に納得したら、売りに出すために宅建業者と「媒介契約」を結びます。
「売り主と買い主の間を不動産会社が仲立ちすることを『媒介』や『仲介』と言い、家を売るとき、業者に買い主を探してもらうために結ぶ契約が『媒介契約』です」と岩端さん。
「媒介契約」には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類あり、「一般媒介」は複数の業者と契約でき、自ら買い主を見つけて直接取引することもできます。「専任媒介」は契約できるのは1社で、自ら見つけた買い主との直接取引は可能。「専属専任媒介」は契約できるのは1社で、自ら買い主を見つけた場合もその業者を通さないと契約できません。
さらに、「一般媒介」には、他にどの業者と媒介契約を結んでいるのかを明示する「明示型」と、明らかにしない「非明示型」があります。また、「専任媒介」「専属専任媒介」には、売り主への状況報告義務と、宅建業者が不動産情報を共有しているネットワークシステム「レインズ」への登録が義務付けられていますが、「一般媒介」には、それらの義務がありません。
「『一般媒介』は、複数の業者に依頼することで、買い手の幅が広がると思われそうですが、『専任媒介』も『専属専任媒介』もレインズで情報が流れるので、1社との契約でも宅建業者間に情報は広まります。逆に、諸事情で自分が物件を売りに出しているということを公にしたくないという場合は、『一般媒介』で『非明示型』にして、レインズへの登録も断れば、情報はクローズドに。ただ、買い主も見つかりにくいですが…」と岩端さん。
媒介契約は、契約時に費用はかからず、売却が決まると、仲介手数料が発生します。仲介手数料は宅建業法で上限額が決められていて、媒介契約の種類によって手数料が変わることはありま
せん。
出典:リビング和歌山2021年9月25日号