狭い私道に面した土地 後々のトラブルがちょっと心配
4m未満はセットバックの対象
和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・岩端芳則さんに、土地・建物にまつわる疑問に答えてもらう「私、家を建てたいんですけど…」シリーズ。今回は住宅の敷地に関する「道路」について。私道を巡るトラブルは後を絶たず、裁判になるケースも少なくありません。
「公道・私道の話の前に、法規制のことから。都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として建築基準法上の道路に2m以上接していなければいけないと建築基準法で規定されています。これを“接道義務”と言います」と岩端さん。さらに、「建築基準法では、幅4㍍以上が“道路”と定められていて、接道している道が4㍍未満の場合は『みなし道路(2項道路)』と呼ばれ、道路の中心線から敷地側に2m後退させて建築しなければいけません。これを『セットバック』と言います」
これは、防災面、救急車両の出入りのために設けられている法律ですが、古くからある市街地では、みなし道路に接道しているケースが多く、土地を購入して新たに家を建てる際は、建ぺい率も容積率もセットバック後の敷地が基準になるので要注意。岩端さんは、「例えば、建ぺい率60%、容積率200%でセットバックが必要な土地なら、容積率は160%になります」と説明します。
公道でも私道でも接道義務は満たさなければなりませんが、私道の場合は、少々厄介な手続きが発生することも。「個人や企業などが所有する私道では、人・車両の通行、水道管などを敷地に引き込むための道路掘削に所有者の同意が必要です。土地の契約前に、所有者と『無償通行・掘削承諾書』を交わしておくことが望ましい」とのこと。しかし、私道の持ち主は1人ではないケースも多く、その場合は所有者全員の承諾が必要となり、難航することも。また、私道の共有持ち分も含めて購入できる場合は、持ち分権に基づいて私道の権利を持つことができます。一方で、広い分譲地の区画内に発生する道は、開発道路や位置指定道路といわれ、開発道路はおおむね公道に移管されますが、位置指定道路は大半が私道のままです。「道・土地に対する不安、問題は宅建協会に加盟する不動産業者に相談を」と、岩端さんは話していました。
出典 リビング和歌山2021年4月24日号